不眠症の症状
- 寝付けない
- 何度も目が覚める
- 早朝に目が覚める
寝つけない、夜中に何度も目が覚める、早朝に醒めてそこから眠れない、日中眠い、寝つくときに足がむずむずする、というような様々な症状があります。
治療について
ナルコレプシーや睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害との鑑別、不眠症を伴う他の疾患(うつ病など)との鑑別がまず大切です。次に、カフェインやアルコールの飲用を控えるなどの生活習慣の改善を行います。睡眠薬を使用することもありますが、依存性や副作用の少ないものを選択し、徐々に減らしていくことによって睡眠薬がなくても眠れる状態を目指します。
うつ病の症状
- 憂うつな気分
- 興味や感動がない
- やる気が起きない
悲しく憂うつな気分、何事にも興味や関心が湧かない、物事に取りかかれない、集中力が続かない、ミスが増える、生きていく価値がないと感じるなどの症状が2週間以上続きます。また、眠れない、食欲が湧かない、性欲がないなどの身体の症状をしばしば伴います。
治療について
- 【1】薬物療法
- 脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)のバランスを取り戻すために、抗うつ剤が有効です。飲み始めの副作用がより少なく、やめやすい薬から始めていきます。
- 【2】休養と環境調整
- 心身のエネルギーが消耗し枯渇している状態なので、休養が大切です。そう簡単に休養が取れない人のためには、職場環境の調整や業務軽減などをはかります。
- 【3】精神療法
- 心を、御者と馬の二つの部分からなる馬車に例えてみましょう。定型的なうつ病では、非常に厳しい御者のような心の部分が、疲れ果てて走れなくなっている馬の部分をむち打っています。そのような心の中の動きに気づくことが、回復や再発の予防に役立ちます。
パニック障害の症状
- パニックになる
- 突然、息苦しくなる
- 乗り物に乗れない
強い不安を感じる急な発作が生じ、しばしば呼吸困難、動機、冷や汗、吐き気などの体の症状を伴います。発作が生じやすい場所や、発作が生じたときに逃げ出せないと感じる場所(乗り物や人混みなど)を避けるようになりがちです。
治療について
SSRIと呼ばれる薬の内服によって発作を予防し、必要があれば発作時の頓服薬を処方します。内服していれば、苦手な状況でも発作が出ないことを確かめていくことが徐々に自信につながっていきます。例えば乗り物に乗れない場合は、まずは普通電車に1駅分だけ乗ってみるなど、段階的に行動範囲を拡げていくことも有効です。
社交不安障害(SAD)の症状
- 会話がこわい
- 電話が取れない
- 一緒に食事ができない
人前で話したり、会食したり、文字を書いたりすることに強い不安と恐怖を持ちます。そのような場面では、赤面、発汗、動悸、震え、下痢などの身体症状が現れることがしばしばあります。このような不安反応のために、症状が起きそうな場面をできるだけ避けようとしてしまいます。
治療について
SADの方は他者からの拒絶や否定的評価を自動的に予想してしまい、恥をかくことに過敏になっています。自分が本当は何を恐れているのかを正確に、詳細に把握していくことが援助になります。それらの精神療法の作業に、薬物療法はしばしば有効な助け手となります。
PTSD(外傷後ストレス障害)の症状
- 恐ろしい体験が
よみがえる - 警戒心が解けない
- 人に会いたくない
命の危険にさらされるようなひどく恐ろしい体験(外傷体験・トラウマ)が、思い出したくもないのに突然、心に侵入してくるように思い出されます。そのためいつもビクビクして警戒し、夜も眠れません。また恐ろしい体験を思い出させるような場面や人を避け、周囲から孤立し、心は麻痺したようになっていきます。
治療について
トラウマの直後は、安心できる人と安全な場所に守られることが何より大切です。SSRIや抗不安薬の投与が役に立つ場合もあります。児童虐待や性的虐待の生存者の場合は、治療を求めてくるのがトラウマからずいぶん経過した後のことが多く、解離性障害やうつ病を併発していることが少なくありません。また、虐待者との関係が被害者のパーソナリティの内部に取り込まれ、後の人生でも繰り返している場合もあります。このような場合は、当院の提供する精神分析的精神療法が困難な状況からの脱出を援助します。
依存症の症状
- 食べ吐きを繰り返す
- 買い物が止まらない
- ネットゲームが
やめられない
過食と嘔吐を繰り返し、体重や体型を過剰に気にしているなら、摂食障害の可能性が高くなります。この状態にアルコール依存や性交渉への依存が重なっている場合もあります。また、買い物やギャンブル、ネット依存も最近注目されています。
治療について
ストレスの急増に伴う症状であれば、SSRIの投薬などにより比較的簡単に脱却できる場合があります。しかし慢性の依存症は、秘密の快感や興奮を伴っていることが多く、したがって依存行為の後では自己嫌悪や恥の感覚をもたらします。依存行為の反復には、真の痛みや苦痛を覆い隠し、見ないようにする目的が隠れています。そのことに気づいていくことが回復の助けとなります。
統合失調症の症状
- 悪口を言われている
気がする - 声に命令される
- 自分の秘密が
人に漏れている
「誰かに監視されている」「盗聴されている」といった被害妄想や、複数の人が本人の悪口を言っているように聞こえてくる幻聴、それらの恐怖によって引き起こされる興奮などが主たる症状です。100人に1人がかかる稀ではない病気で、若い年代の発症が多いのが特徴です。
治療について
近年は症状が軽症化し、またご自分でも異変に気づいてこられる方が増えてきました。安心できる治療関係を築き、薬物療法によって幻聴や妄想の消失、減少を図ることが第一に必要です。発症の際に多くの心的エネルギーを消耗しているので、ストレスを遠ざけ休息することも大切です。諸症状の回復を待って、社会的関係への復帰をゆっくりと進めます。
成人の発達障害
- 人の気持ちが
推し量れない - 視線・表情・身振りが
不自然 - 強いこだわりがある
会話の場面で相手の気持ちやその場の空気を推し量ることが難しく、そのために一方的な接し方になったり、まったく孤立したりします。過度に細かく繰り返しの多い話し方になり、一方、視線・表情・身振りなど、言葉以外のコミュニケーションを使って自然に振る舞うことができません。また、特定の関心事に強いこだわりがあります。米国精神医学会が発行したDSM5では、広汎性発達障害とアスペルガー障害を基本的には同じものととらえて、「自閉スペクトラム症」に統一しています。
締切が守れない、ミスや忘れ物が多い、計画的に物事を進められないなどの注意欠陥性障害は別の疾患ですが、合併していることがあります。
治療について
知能や言葉の遅れがない場合、幼少期にはそれと気づかれず、例えばゼミ配属や就活などの時期になって、社会性・コミュニケーションの問題に気づかれることがあります。実際に「自閉スペクトラム症」なのかどうかは、診察、本人と家族からの詳細な発達歴の聴取、各種の心理検査によって診断されます。当院では臨床心理士がまだ勤務していないため、適切な心理検査機関を紹介します。衝動性や二次障害としての不安、うつ症状については薬物が有効な場合があります。
認知症の症状
- ついさっきのことを
忘れている - 同じ話を繰り返す
- 幻視がある
年を取ると誰でももの忘れが増えますが、そのような自然なものではない、病的なものを指します。昔のことは覚えているが、新しいことを覚えるのが難しくなります。一方、「部屋に誰かいる」といった幻視の症状などで始まるタイプもあります。また、集中力や自発性がなくなり、反社会的な行動を取ることで気づかれるタイプもあります。
治療について
初診時に病歴の聴取と簡単な質問によるテストを行います。次に、頭部MRIなどの画像診断をご自宅近くの適切な医療機関で受けていただきます。それらを総合的に判断して診断します。病気の進行を遅らせる薬や問題行動を抑える薬は有効な場合が大半です。ご家族の対応が病像に影響していることも多いので、助言いたします。進行の度合いによって介護サービスと連携していきます。